純粋にホラー映画として秀作おすすめ度
★★★★★
見たものが7日後に死ぬという呪われたビデオテープというアイデアは単純だが、スプラッター映画にせず本当のホラー映画を目指している点で好感が持てる。主人公を女性に変えたのも、原作では両性具有という貞子の設定をそぎ落としてシンプルにしていることも映画の脚色として正解だと思う。見た者が7日後に死んでしまうというタイムリミット付きの設定は主人公たちが逃げられない運命にあることを不自然でなく観客に納得させる。(多くのホラー映画で見られる「なぜわざわざ危険な目に会いに行くの?」という疑問が生じない)
それにしても最後の大一番の演出は凄かった。昼間の設定にも関わらず、あのテレビから出てくる貞子の動きと演出には誰もが息を飲む。後にハリウッドでリメイクされたが、やはりオリジナルの出来には及ばなかった。
衝撃の一作
おすすめ度 ★★★★★
どうせ日本のホラーなんて、とナメてかかり、ビデオで夜10時くらいから見たのが、リング初体験だった。見終わったときには、本当に自分も一週間後に呪い殺されるのではないかと心配した。このあと、日米韓で類似のホラーが量産されたが、中田秀夫の続編、リメイクを含めて超えるものはない。画面に広がるジメジメ感が秀逸であり、湿度の低いカラッとしたカリフォルニア産ホラーとは根本的に違う。金田一ものよりは四谷怪談的。今ならビデオテープよりDVDかもしれないが、デジタル貞子にはあまり恐怖を感じないかもしれない。ビデオテープのあのザラザラ感が良いのである。サスペリアではないが、未見の人は「決してひとりでは見ないでください」的作品である。
概要
日本映画界にホラー・ブームを巻き起こしたヒット作。鈴木光司のベストセラー小説が原作。女子高生たちの奇怪な死を追っていたテレビ局員、松嶋菜々子が演じる浅川玲子は、高校生たちの間に見たら1週間後に死ぬビデオがあるという噂が広がっていることを知る。問題のビデオを発見した浅川は、それを見てしまった。
別れた夫の協力を得てビデオの謎を解明するうちに、超能力者の悲劇的な死とその呪いにたどりつく。1週間という限定された時間で謎を解かなければならないというサスペンスによって、単なる驚かしや血生臭い描写に頼らない心理的な恐怖を描いている。ビデオに映る粗い画像と、真夜中に暗い部屋でテレビを見つめる子どものシーンが恐怖を増幅する。(堤 昌司)