トータルコンセプトアルバムおすすめ度
★★★★★
「楽園」というとフワフワした柔らかい雰囲気の音楽を想像しますが、このアルバムは少し違います。
遠い遠い昔の、かつてはあったであろう今では見果てぬ夢のような場所、、、破壊された楽園、引き裂かれた運命の人、何万年もの時を越えて再会した二人、、そんなモチーフをピアノとストリングス、そして乾いたサックスの音で世界を作り上げていきます。加羽沢さんのアルバムの中でも特異な位置を占めるアルバムではないでしょうか。
豊かな残響の中で印象的なテーマが繰り返し用いられ、紆余曲折を経て最後は盛り上がってハッピーエンドで終わる、、、一遍の映画を見るようなつもりで聴いてみてほしいアルバムだと思います。
ドラマティックで刺激的!
おすすめ度 ★★★★★
加羽沢さんが作る曲はメロディが美しく、やさしさを感じさせる女性らしい曲も多いと思うのですが、このアルバムは小説のストーリーに基づいて作られていることもあり、美しさの他にも雄大さ、荘厳さ、悲壮さ等々様々なイメージが曲から感じられ、とても刺激的です。私のお気に入りは1,2,4,9,15曲目です。中でも4曲目は加羽沢さんらしい、キラキラ輝いている曲で、本当に綺麗。ラピスラズリをガラスの上に散りばめたようなイメージの曲だそうです。まさにそんな感じ!ひとつひとつの曲がテーマに沿っているので、曲を聴いているとその場景が本当に目に浮かんでくるようです。15曲目の「エピローグ・ベリンジア」から感じられる壮大なスケールからは、そのまま加羽沢さんの作曲家としての大きさも感じられ、また、音楽は国境を越えるってこういうことなのか…と思わずにはいられない。このアルバムをサントラにした「楽園」の映画やドラマが作られれば素敵なのに…と思います。鈴木氏の小説の壮大なストーリーも見事ですが、このアルバムもそれに負けず劣らず、素晴らしい仕上がりになっているのではないかと思います。