モノクロ映像美 おすすめ度 ★★★★☆
日本映画界屈指の名カメラマン<宮川一夫さん>撮影の逸品です。
<羅生門>><雨月物語><用心棒>etc・・・。傑出した作品を産み出されましたが、この<越前竹人形>も素晴らしい映像です。
竹薮の空間処理(コントラストの対比)、季節感を花&雲の形で表現、
夏の京都はハイキーで撮影させて(暑さ)を出し、渡し舟での悲劇のシーンでは、コントラストを強めにさせた上で、暗めの色調にさせています。
また、日本家屋の中での撮影では、実に中間段調が豊かで、
家具&柱等の質感も十分!。若尾さんが、荷車に乗って嫁いで来る
シーンなんか、ゾクゾクするような映像美です。
とにかく映像が素晴らしい。
ところが、
物語の内容となると、個人的には<悲劇的>すぎて、ちょっと辛いです。
玉枝さんが嫁いできてからの<ギクシャク感・・・>。本来なら、ここから 玉枝さんの<肺結核気味>の症状も<養生>によって緩和する筈
だし、喜助のほうも<名工>となって めでたしめでたしだったのですが・・・・・・。
でも、物語は 転げ落ちるように<惨劇>の連続となり、他界させるとは・・・・・。
私的観点からすれば、この<玉枝&喜助>は、日本昔ばなしのように、<末永く暮らしたとさ>のハッピーエンドで終わって欲しかった。
心清くけなげに生活している者には、慈愛の精神が無いと・・・・。
でも、何故か日本文学には<悲劇的>とする風潮が宿っているのでしょうか・・・・・。
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