和央ようかの男装した姿はさすがに絵になりました おすすめ度 ★★★★☆
豊臣の滅亡と徳川の全国制覇というダイナミックな歴史転換の重要な時代に、歴史を動かし、その歴史に翻弄された茶々を主人公にした映画です。
東映お得意の時代劇ですから、合戦のシーンはお手の物ですし、刀や槍、騎馬のシーンは堂にいった映像が繰り広げられています。現代的な感覚を持ち込みながら、女性の視点から戦乱のむなしさと家族の愛の深さを描いた作品だと言えるでしょう。特に母親が子供を愛する気持ちをクローズアップして取り上げていますので、女性にとって感情移入しやすい作品だと思います。
脚本は井上靖『淀どの日記』の原作とは違う描き方をしていますが、信長の姪であり、浅井長政とお市の娘である茶々と小督の姉妹の身に降りかかった戦乱の世の厳しい運命をうまく描きだしており、歴史に翻弄されながらも強く生き抜いた女性像はしっかりと表現できています。姉の茶々は秀吉の側室となり、秀頼の母となりました。妹小督は、徳川2代将軍秀忠の正室となり、3代将軍家光と千姫の母となります。いとこどうしである秀頼と千姫との婚姻もあり、ますます茶々と小督は歴史の非情さに引き裂かれることとなるのです。
和央ようかが甲冑を身にまとい男装した姿での立ち振る舞いはさすがに絵になりました。彼女の魅力とも言える凛とした美しさを感じた瞬間です。男装の麗人の例えはこの人にあるような雰囲気を醸し出していました。今後はその凛とした美しさを感じさせるような舞台や作品に出演して欲しいと思いました。
撮影の背景ですが、聚楽第の撮影場所は二条城でしたし、大坂城は伏見桃山城を使用しての撮影でした。勿論相当費用をかけて改装されていましたので違和感はありません。その他大覚寺も使用されており、京都の社寺の風景を上手く時代絵巻に取り入れていました。
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