10年がけの執念に、心動かされます。 おすすめ度 ★★★★★
東京国立博物館で開催された「唐招提寺展 国宝 鑑真和上像と盧舎那仏」2005年1月12日(水)~3月6日(日) で、この映画の上映がありました。 仏教の教えを日本にいきわたらせる目的で中国から高僧を招くために、日本の若き僧が中国に渡る。鑑真和上に出会い渡日の承諾を得るまでに10年近くを費やし、その後成功するまでに11年6回の企て。この時代のこのプロジェクトは、現代でいえばアポロが月の石を持ち帰った快挙に近いかもしれません。 結果的に僧の一人普照は目的を達しましたが、途中で別の道に歩んだもの、病で命を落としたもの、30年以上の労作とともに海の藻屑と消えたものの姿も描かれます。必ずしも報われない”10年がけの執念”が凝縮されて、唐招提寺として今に伝えられていることに素直に感銘をうけました。こういったストーリーをふまえて見る古い寺院や像は、実に生々しく立体的でした。 こうやって人類は一歩一歩進化してきたのですね。報われるか報われないかを考えていたらできないことです。この映画も、ビデオ/DVDとして伝えていってほしいと思いました。
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